赤外線は、可視光線の赤色より波長が長く、電波より波長の短い電磁波のことである。ヒトの目では見ることができない光である。
赤外線は赤色光よりも波長が長く、ミリ波長の電波よりも波長の短い電磁波全般を指し、波長ではおよそ 0.7μm 〜 1mm(=1000μm)に分布する。すなわち、可視光線と電波の間に属する電磁波と言える。
赤外線は波長によって、近赤外線、中赤外線、遠赤外線に分けられる。波長区分は、学会によって微妙に違う。下記の区分はその一例である。
近赤外線に感光する赤外線フィルムやカメラなど映像装置を用いることで、特殊なメリットを得ることができる。
赤外線は可視光に比べて波長が長いため散乱しにくい性質があり、煙や薄い布などを透過して向こう側の物体を撮影するために用いることができる。
あくまで光であるため、近赤外線光が当たっていない物体は写らず認識できない。一方で、赤外線は目に見えないため、外部に近赤外線光源を持つことで、被写体に気付かれることなく夜間などでも撮影することができる。100m先の物体を照らすことのできる光源も存在する。
これらの利点から、軍事用の暗視スコープでも利用されている。ライトや星から放たれるわずかな可視光線・近赤外線を増幅し、明瞭な画像を得るものである。
赤外線カメラは、可視光をシャットアウトする赤外線フィルタを通して用いる。なお赤外線は可視光と比べてガラスに対する屈折率も小さいため、撮影の際には焦点距離を大きく取る必要があるものもある。そのため、一部のレンズについては通常の光で焦点を合わせた後、赤外線でピントを合わせるための目印を付けたものもある。なお、その特長を悪用して、水着を透かして撮るなどの盗撮行為が可能となっている。その為、赤外線に透けない素材の使用を売りにした水着も販売されている。
近年の世界的な治安悪化で、近赤外線まで感度分布を持つCCDカメラに、赤外線LEDランプ照明を使用した監視カメラが多方面に使用されてきている。赤外光を利用して夜間でも相手に気付かれず、相手を刺激せずに撮影することができる。街中の監視カメラや各種料金所ゲートのカメラから、家庭用のドアホンまで幅広く利用されてきている。
遠赤外線領域を検知する映像装置を使うと、熱源となる物体や生物の存在を検知することができる。また、遠赤外線の強度を解析することで温度分布を割り出し表示する映像装置が、サーモグラフィー(熱映像)である。通例、高温の部分を赤い色で、低温の部分を青い色で表示するものが多い(当然ながら実際の色とは何の関係もない)。
熱映像装置は、肉眼で見ればどんなに暗い場所においても、他の人間などの存在を確実に認識することができる。しかし、ボロメータ型撮像素子の場合、温度差が存在しなければ何も検知することができない。例えば、気温が30度を超えるようなときには、周囲と人間を見分けることは極めて難しい。
また、量子型映像装置が外部に近い温度を持っていると映像装置内部が発する熱に感光してしまい使い物にならない。そのため量子型熱映像装置の検知部は被写体に比べ十分に低温に保つ必要がある(人工のものの場合数十度の差、ピット器官による熱映像視野を持つ蛇などは数度の差)。被写体がより低温である場合は、原理的に検知・撮影することができない。
遠赤外線は近赤外線よりも更に波長が長いため透過性なども更に大きいが、映像装置としては極めて分解能が低くなる。 赤外線撮像素子には大きく分けて量子型とボロメータ型の2通りがある。 量子型赤外線撮像素子はCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサといった固体撮像素子と同様に光子がPN接合に入射した時に生じる電荷を検出することで撮像する。 ボロメータ型赤外線撮像素子は赤外線の入射に伴う温度変化を検出する事で撮像する。 量子型は熱雑音の影響を受け易い為、撮像素子を冷却する必要があるが、ボロメータ型は相対的な熱量を検出する為、非冷却も可能。 量子型は用いる半導体の種類により、赤外線の波長により感度が変わる(波長依存性)。一方、ボロメータ型は感度は、ほぼ一定である。 量子型は熱源の移動や温度の変化に対して追随性が良いが、ボロメータ型は素子の熱容量に影響を受ける為、量子型に比べ追随性に劣る。 ボロメータ型は強誘電性材料の自発分極を利用した物や、熱電対を利用した物や、トムソン効果を用いた物がある。 近年では、MEMSの技術の発展により開発が進みつつある。(ウィキぺディアから参照しています)